白内障の予防は生活習慣で差がつく。今日から始める目の守り方

白内障そのものは加齢とともに誰にでも起こりますが、濁りが進むスピードは、紫外線の浴び方や食事、喫煙といった毎日の習慣で大きく変わります。

この記事では、白内障を遠ざける対策や食事、避けたい生活習慣、眼科検診を受けるタイミングまで、今日から実践できる予防策を整理します。

白内障はなぜ起きるのか

白内障はなぜ起きるのか

白内障のメカニズムを知ると、何を防げばよいかが見えてきます。

水晶体が濁る仕組み

目の中には水晶体というカメラのレンズにあたる透明な組織があります。この水晶体は主にタンパク質と水でできており、光を通して網膜に像を結ぶ役割を担っています。加齢や紫外線の影響で水晶体のタンパク質が酸化すると、本来は整然と並んでいたタンパク質の構造が崩れ、光が散乱するようになります。

これが「白く濁る」状態、つまり白内障です。

酸化によるダメージは何十年もかけてゆっくり蓄積するため、白内障は「ある日突然起きる病気」ではなく「長い時間をかけて進む変化」です。だからこそ、日常生活で酸化ストレスをどれだけ減らせるかが、発症や進行のスピードに影響します。

白内障は何歳くらいから始まるのか

水晶体の変化は思っている以上に早い時期から始まり、50代から少しずつ濁りが見られるようになります。日本眼科学会によると、60代で約70%、70代で90%、80代になるとさらに多くの方に白内障が起こります。つまり白内障は特別な病気ではなく、加齢とともに多くの方に起こる目の変化です。

ただし「水晶体に濁りがある」ことと「見え方に困る」ことは同じではありません。濁りがあってもほとんど自覚症状がない段階と、かすみやまぶしさで日常生活に支障が出る段階があり、後者まで進むスピードには個人差があります。予防とは「白内障にならないこと」ではなく「困る段階への進行を遅らせること」です。

参考:白内障|日本眼科学会

白内障の予防に効果的な紫外線対策

白内障の予防に効果的な紫外線対策

紫外線は白内障の進行を早める外的要因のうち、自分でコントロールしやすいもののひとつです。

紫外線が水晶体にダメージを与える仕組み

太陽光に含まれる紫外線(特にUV-AとUV-B)が目に入ると、水晶体の内部で活性酸素が発生します。活性酸素はタンパク質を酸化させ、構造を変性させる力を持っています。若いうちは水晶体自身に備わった抗酸化力で活性酸素を処理できますが、年齢を重ねるとこの防御力が落ち、ダメージが蓄積しやすくなります。

紫外線を長年浴び続けるほど酸化ダメージの蓄積が進むため、紫外線対策は若いうちから始めるほど効果が大きいのです。

サングラスと帽子の正しい選び方

紫外線から目を守るには、サングラスと帽子の組み合わせが基本です。サングラスを選ぶときに大切なのは、レンズの色の濃さではなく「UVカット率」です。色が濃いだけでUVカット機能がないレンズをかけると瞳孔が開いた状態で紫外線を取り込むため、かえって逆効果になります。

購入の際は「紫外線カット率99%以上」または「UV400」と表示されたものを選んでください。レンズの色はブラウン系など薄めのものが、まぶしさを抑えつつ視界も暗くなりにくいため普段使いに向いています。

つばの広い帽子を併用すると、上方からの紫外線を大幅にカットできます。帽子とサングラスを合わせることで紫外線を9割以上遮ることも可能です。曇りの日でも紫外線は地表に届いているため、夏だけでなく通年での対策を意識してください。

日常生活でできる紫外線対策

サングラスをかけられない場面でも工夫はできます。UVカット機能付きの眼鏡やコンタクトレンズは、普段の生活の中で継続的に紫外線を減らす手段として有効です。日差しが強い時間帯(午前10時〜午後2時頃)の長時間の屋外活動を避けることも、目への紫外線量を減らすうえで実用的な方法です。

白内障を遠ざける食事と栄養素

白内障を遠ざける食事と栄養素

水晶体の酸化を抑えるために、体の中から抗酸化力を高めることも予防の柱になります。

バランスの取れた食事を心がける

水晶体の健康を支えるのは、特定の食品やサプリメントではなく、毎日の食事全体のバランスです。タンパク質・ビタミン・ミネラルを主食・主菜・副菜から偏りなく摂ることが、抗酸化力を維持する土台になります。

白内障予防に「特別な一品」はなく、毎日の食事全体の質が水晶体の老化スピードを左右します。極端な糖質制限や、一部の食品に偏った食生活は、長期的にみると酸化ストレスや糖化ストレスを増やす要因になります。まずは毎食、主食・主菜・副菜が揃った食事を意識することから始めてください。

抗酸化作用が高い栄養素を摂る

バランスの取れた食事を前提に、水晶体の保護に関わる抗酸化栄養素は意識的に取り入れたいところです。代表的なのはビタミンC、ビタミンE、ルテインやゼアキサンチンなどのカロテノイドで、いずれも目の組織で活性酸素を中和する働きを持っています。これらの栄養素は野菜や果物に多く含まれるため、緑黄色野菜と果物を毎日積極的に摂ることが、抗酸化栄養素を確保するもっとも現実的な方法です。

国立がん研究センターが約35,000人を5年間追跡した多目的コホート研究(JPHC Study)でも、食事からのビタミンC摂取量が多いグループは、少ないグループと比較して白内障の発症リスクが男性で約35%、女性で約41%低下しました。

具体的には、ビタミンCはパプリカ・ブロッコリー・キウイフルーツ・イチゴなどに、ビタミンEはアーモンド・アボカド・かぼちゃなどに、ルテインやゼアキサンチンはケール・ほうれん草・卵黄などに多く含まれます。ビタミンCは加熱に弱いため、生で食べられるものはそのまま、加熱する場合はスープごと摂ると栄養素を逃しにくくなります。

参考:ビタミンC摂取と老人性白内障発症の関係について|国立がん研究センター多目的コホート研究(JPHC Study)

糖質や脂質の過剰摂取を控える

抗酸化栄養素を摂ることと同じくらい、何を摂りすぎないかも白内障予防では大事です。糖質と脂質それぞれの摂り方が、水晶体の糖化・酸化ストレスに直接関わってきます。

糖質を過剰に摂ると、体内の余分な糖がタンパク質と結合して変性させる「糖化」が起きやすくなります。水晶体のタンパク質が糖化すると構造が崩れ、濁りの原因になります。甘いジュースや菓子類の摂りすぎを控え、食事の際は野菜から先に食べて血糖値の急上昇を抑えるなど、糖の摂り方に気を配ってください。

脂質については、揚げ物やスナック菓子に多い酸化した油(過酸化脂質)が、体内の活性酸素を増やす要因になります。同じ油を繰り返し使った揚げ物や、長期間保存された油脂を含む加工食品は、できるだけ控えるのが望ましいです。

白内障の進行を早める生活習慣

白内障の進行を早める生活習慣

予防のために「何をするか」と同じくらい、「何をやめるか」も重要です。

喫煙は白内障のリスクを大きく引き上げる

タバコの煙には多数の有害物質が含まれており、体内で大量の活性酸素を発生させます。この活性酸素が水晶体のタンパク質を直接酸化させるため、喫煙者は非喫煙者と比べて白内障のリスクが高まります。WHOと国際失明予防協会の報告でも、喫煙は白内障の発症リスクを高める重要な因子として挙げられています。

禁煙は何歳から始めても遅くはありません。海外の大規模な調査では、1日15本を超えて吸う方の白内障手術のリスクは吸わない方の約1.4倍で、禁煙して20年ほど経ってもなお2割ほど高い水準でした。喫煙量が多かった方ほどリスクが下がるのに時間がかかるため、できるだけ早く禁煙するほど目を守ることにつながります。

禁煙が難しいと感じる方は禁煙外来を利用する方法もあります。

参考:Smoking linked to early vision loss and cataracts|世界保健機関(WHO

参考:Smoking cessation and the risk of cataractJAMA Ophthalmology, 2014)|PubMed

糖尿病と白内障の深い関係

糖尿病の方は、血糖値の高い状態が続くことで水晶体内にソルビトールという物質が蓄積しやすくなります。ソルビトールは水晶体に水分を引き込んで膨張させ、タンパク質の構造を乱すため、白内障が通常より早い年齢で進行する傾向があります。糖尿病のある方は白内障の手術時期も若年化する傾向があるため、血糖値のコントロールが白内障予防に直結することを知っておいてください。

すでに糖尿病と診断されている方は、内科での治療を継続しながら、眼科での定期検診を受けることで白内障を含む目の合併症を早期に発見できます。

過度な飲酒や睡眠不足も影響する

過度なアルコール摂取は体内の酸化ストレスを増加させ、水晶体のダメージを加速する要因のひとつです。適度な量にとどめることが目の健康にも有益です。

また、睡眠中は細胞の修復や抗酸化物質の補充が行われるため、慢性的な睡眠不足は目の回復力を低下させます。十分な睡眠を確保することも、長い目で見たときに水晶体の健康維持に貢献します。

白内障の予防に定期的な眼科検診が欠かせない理由

白内障の予防に定期的な眼科検診が欠かせない理由

白内障は初期段階ではほとんど自覚症状がありません。「見えにくくなった」と感じたときには、かなり進行しているケースも少なくありません。定期検診では水晶体の状態を直接確認できるため、自覚症状が出る前の早い段階で変化を捉えることができます。

眼科検診で行う検査の内容

白内障の検診では、視力検査に加えて細隙灯顕微鏡(スリットランプ)という機器を使い、水晶体の濁りの有無や程度を直接観察します。この検査は目薬で瞳孔を広げてから行う場合もあり、水晶体全体の状態を詳しく把握できるため早期発見に有効です。あわせて眼底検査や眼圧測定を行うことで、緑内障や網膜の病気など他の目の疾患も同時にチェックできます。

何歳から、どのくらいの頻度で受けるとよいか

40歳を過ぎたら1〜2年に1回は眼科検診を受けることが目の健康管理の目安になります。白内障は50代から有病率が上がり始めるため、この時期に一度ベースラインの状態を確認しておくと、その後の変化を比較しやすくなります。糖尿病のある方や、屋外で長時間過ごす仕事をしている方など、リスク因子がある場合はより早い時期から、より短い間隔での検診が望ましいでしょう。

症状がなくても検診を受ける理由は、白内障の早期発見だけではありません。緑内障や加齢黄斑変性など、自覚症状が出にくい目の病気を見逃さないためにも、かかりつけの眼科を持ち、定期的に目の状態を診てもらう習慣が大切です。

白内障の予防に関するよくある質問

白内障の予防に関するよくある質問

白内障の予防に目薬は効きますか?

白内障の進行を遅らせる目的で処方される点眼薬として、ピレノキシン製剤(カタリン・カリーユニなど)やグルタチオン製剤があります。これらは水晶体の濁りそのものを元に戻す薬ではなく、濁りがまだ軽い早い段階で進行をゆるやかにすることを目指して使う薬です。効果の感じ方には個人差があり、すでに見え方に支障が出ている場合は点眼では改善が見込めず、手術が選択肢になります。

サプリメントで白内障を予防できますか?

ルテインやビタミンCのサプリメントが販売されていますが、サプリメントだけで白内障を予防できるという十分なエビデンスは確立されていません。国立がん研究センターの研究でも、効果が確認されたのは「食事からの」ビタミンC摂取であり、サプリメントの使用による予防効果は明確ではありません。まずは日々の食事で野菜や果物をしっかり摂ることを優先し、食事だけで補いきれない場合に補助的に活用するのが現実的です。

参考:ビタミンC摂取と老人性白内障発症の関係について|国立がん研究センター多目的コホート研究(JPHC Study)

スマートフォンやパソコンの使用は白内障に影響しますか?

スマートフォンやパソコンの画面からはブルーライトが発せられます。ブルーライトは紫外線ほどのエネルギーはありませんが、長時間浴び続けることで水晶体や網膜への負担が指摘されています。白内障との直接的な因果関係は現時点では確立されていませんが、長時間の画面作業では定期的に目を休める、ブルーライトカット眼鏡を活用するなど、目への負担を減らす工夫をしておくことは目の健康全般にとって有益です。

まとめ

まとめ

白内障は加齢とともに誰にでも起こりうる変化ですが、紫外線対策、食事での抗酸化栄養素の摂取、禁煙、血糖値の管理を続けることで、見え方に困る段階への進行を遅らせることができます。

予防で大切なのは、特別なことをするよりも、毎日の積み重ねです。UVカットのサングラスや帽子で目を守る、緑黄色野菜や果物を意識的に食事に取り入れる、タバコを吸わない。こうした習慣を無理のない範囲で続けることが、数年後・数十年後の見え方を変えていきます。

そしてもうひとつ、目に自覚症状がなくても定期的に眼科を受診することを忘れないでください。白内障は初期には気づきにくい病気です。かかりつけの眼科で定期的に水晶体の状態を確認しておくことで、いざ見え方に変化が出たときにも慌てず対応できます。

おぎくぼ南口眼科では、眼科検査で水晶体の状態を詳しく確認し、白内障が進行した場合は日帰り手術まで一貫して対応しています。予防のための経過観察から、手術が必要になったときの治療まで眼科専門医が継続して診ますので、見え方の変化や検診の時期に迷ったときはお気軽にご相談ください。

監修者情報

おぎくぼ南口眼科 白内障手術執刀医 ビッセン宮島弘子(日本白内障学会評議員)

おぎくぼ南口眼科

白内障手術執刀医 ビッセン宮島弘子(日本白内障学会評議員)

白内障、屈折矯正手術分野では、国内のみならず国際的に高い評価を得ており、国際学会の手術ビデオコンテストでは、最優秀賞2回、部門賞12回、眼科で最も貢献した医師に贈られる賞をアメリカ、ドイツ、アジア太平洋の学会で受賞している。2006年国際眼内レンズ学会で女性初の会長就任、2010年より2018年まで日本白内障屈折矯正手術学会理事長、2018年よりアジア太平洋白内障屈折手術学会理事長を歴任。

経歴

  • 1981年 慶應義塾大学医学部卒業
  • 慶應義塾大学医学部眼科学教室入局
  • 1984年 ドイツ ボン大学眼科助手
  • 1987年 慶應義塾大学医学部眼科学教室助手
  • 1989年 国立埼玉病院眼科医長
  • 1995年 東京歯科大学市川総合病院眼科講師
  • 慶應義塾大学医学部眼科学教室非常勤講師
  • 2000年 東京歯科大学水道橋病院眼科助教授
  • 2003年 東京歯科大学水道橋病院眼科教授
  • 2022年 東京歯科大学水道橋病院眼科特任教授・名誉教授 現在に至る

資格・認定

  • 日本白内障学会 評議員
  • 日本老視学会 理事
  • 日本眼科学会 会員
  • 日本眼科医会 会員