白内障手術の費用はいくらかかる?レンズの種類別に目安を解説

白内障手術の費用は、選ぶ眼内レンズの種類によって17,000円程度から40万円程度まで大きく変わります。同じ「白内障手術」でも、保険がきくレンズと自費のレンズでは費用の仕組み自体が異なるため、「白内障の手術はいくらですか」という質問には「どのレンズを選ぶかで決まります」というのが正確な答えです。

白内障手術の費用を決める最大の要素はレンズの種類

白内障手術の費用を決める最大の要素はレンズの種類

白内障手術では、濁った水晶体を取り除いて人工の眼内レンズを入れます。この眼内レンズには大きく分けて「単焦点レンズ」と「多焦点レンズ」の2種類があり、どちらを選ぶかによって費用の仕組みそのものが変わります。

単焦点レンズは保険適用で自己負担が少ない

単焦点レンズは、遠くまたは近くのどちらかひとつの距離にピントを合わせるレンズです。白内障手術で最も広く使われており、手術からレンズ代まですべて健康保険が適用されるため、自己負担額は比較的少なく済みます。

ただし、ピントが合う距離がひとつに限られるため、手術後も眼鏡が必要になるケースがほとんどです。「遠くに合わせて近くは老眼鏡を使う」「近くに合わせて運転時は遠用の眼鏡をかける」といった使い分けが前提になります。

多焦点レンズは「選定療養」と「自由診療」の2つがある

多焦点レンズは、遠く・近く・中間距離など複数の距離にピントが合うように設計されたレンズです。手術後に眼鏡への依存度を大幅に減らせる点が最大のメリットで、このレンズを選ぶと費用の仕組みは2つのパターンに分かれます。

ひとつは「選定療養」という制度を使う方法です。手術そのものには健康保険が適用され、多焦点レンズ代だけを自費で支払います。2020年4月に始まった制度で、従来のように手術費用まで全額自費になるのに比べて負担を抑えられるのが特徴です。

もうひとつは「自由診療(全額自費)」で、国内で薬事承認を受けていないレンズや、選定療養の対象になっていないレンズを使う場合がこれに該当します。手術代・レンズ代・検査費用のすべてが自己負担です。

当院では自由診療には対応しておらず、国内承認の選定療養対象レンズの中から、患者様お一人おひとりのライフスタイルに合わせて最適な多焦点レンズをご提案しています。読書や手元の作業が多い方、運転や趣味で遠くを見る機会が多い方など、希望する見え方によって適切なレンズをご提案します。

レンズ別の白内障手術費用の目安

レンズ別の白内障手術費用の目安

費用構造が理解できたところで、片目あたりの具体的な目安を確認します。

レンズの種類 費用の仕組み 片目の自己負担額の目安
単焦点レンズ すべて保険適用 1割:約17,000円
2割:約34,000円
3割:約50,000円
多焦点レンズ(選定療養) 手術代は保険+レンズ代は自費 保険の自己負担+レンズ代30万〜40万円程度

単焦点レンズの費用の内訳

保険適用の白内障手術(水晶体再建術)は、手術代・レンズ代・術前検査・術後の診察をすべて含めて保険点数で計算されます。日帰り手術の場合、片目の窓口負担は1割負担で約17,000円、3割負担で約50,000円が目安です。入院手術の場合はこれに入院費が加算されますが、日帰り手術が主流になった現在、入院費が不要な分だけ総額は抑えられます。

多焦点レンズ(選定療養)の費用の内訳

選定療養では、手術の技術料は単焦点レンズの場合と同じく保険が適用されます。自費になるのは、多焦点レンズ代と追加の検査費用です。レンズ代は種類によって異なり、3焦点レンズで片目30万〜40万円程度が一般的な相場です。

乱視矯正機能つき(トーリック)のレンズはさらに数万円上乗せになることがあります。

つまり、3割負担の方が選定療養で3焦点レンズを選んだ場合、片目の総額は保険の自己負担分(約50,000円)+レンズ代(30万〜40万円程度)で、片目35万〜45万円程度が目安になります。

白内障手術の費用負担を減らす3つの制度

白内障手術の費用負担を減らす3つの制度

白内障手術にかかった費用は、公的な制度を活用することで実質的な負担を減らせます。「知らなかったから申請しなかった」ということがないよう、手術前に制度の概要を把握しておきましょう。

高額療養費制度で月の自己負担に上限がかかる

高額療養費制度は、1ヶ月(1日〜末日)の医療費の自己負担額が上限を超えた場合、超えた分が後から払い戻される制度です。白内障手術は保険適用部分(単焦点レンズの手術費用全額、または選定療養の手術費用部分)がこの制度の対象になります。

上限額は年齢と所得区分によって異なります。70歳以上の一般所得の方の場合、外来の自己負担上限は月額18,000円です。つまり、1ヶ月の自己負担は最大でも18,000円に収まります。

年齢・所得区分 外来(個人ごと) 外来+入院(世帯)
70歳以上・一般所得 月18,000円 月57,600円
70歳以上・住民税非課税 月8,000円 月15,000〜24,600円
70歳未満・一般所得 月80,100円+(総医療費−267,000円)×1% 同左

なお、選定療養のレンズ代(自費部分)は高額療養費制度の対象にはなりません。保険がきく手術費用部分のみが対象です。

限度額適用認定証を事前に取得すると窓口負担を抑えられる

高額療養費制度は医療費を支払った後に申請して払い戻しを受ける仕組みですが、「限度額適用認定証」を事前に取得して医療機関の窓口で提示すれば、最初から上限額までの支払いで済みます。一時的な高額の立て替えが不要になるため、手術前に加入している健康保険組合や市区町村の窓口で申請しておくと安心です。

70歳以上で一般所得・住民税非課税の方は、保険証と高齢受給者証の提示だけで自動的に上限額が適用されるため、認定証の申請は原則不要です。70歳未満の方や、70歳以上でも現役並み所得の方は事前申請が必要です。

医療費控除で税金の一部が戻ってくる

1年間(1月〜12月)に支払った医療費が10万円を超えた場合、確定申告で医療費控除を受けると所得税・住民税が軽減されます。総所得金額等が200万円未満の方は、10万円ではなく総所得金額等の5%を超えた部分が控除対象です。

白内障手術の費用は保険診療・選定療養のいずれも医療費控除の対象になり、通院にかかった交通費も含められます。5年前まで遡って申請できるため、申告を忘れていた年がある方は過去分の申請も検討してみてください。

参考:高額療養費|協会けんぽ

両目を手術するときの費用はどうなるか

両目を手術するときの費用はどうなるか

白内障は左右両方の目に起きることが多く、両目とも手術を受ける方は少なくありません。ただし、感染リスクを避けるために両目を同じ日に手術することは一般的ではなく、片目ずつ別の日に手術するのが標準です。

ここで費用面のポイントになるのが、両目の手術を同月内に行えば、高額療養費制度の上限が1ヶ月分で済むという点です。たとえば70歳以上・一般所得・2割負担の方の場合、片目ずつ別の月に手術すると各月34,000円で合計68,000円ですが、同月内にまとめると月の上限額18,000円で済みます。約50,000円の差になるケースもあるため、両目の手術を予定している方は手術の時期について主治医に相談してみてください。

なお、多焦点レンズのレンズ代(自費部分)は高額療養費制度の対象外のため、同月にまとめても自費部分は変わりません。あくまで保険適用の手術費用部分の負担が軽くなるという仕組みです。

白内障手術の費用に関するよくある質問

白内障手術の費用に関するよくある質問

民間の医療保険(生命保険)から給付金は出ますか?

白内障手術(水晶体再建術)は、多くの民間医療保険で手術給付金の対象になります。ただし、契約時期が古い保険では「日帰り手術は対象外」とされていたり、両目の手術を同時期に行うと「1回分」として扱われたりするケースがあります。手術前に保険証券を確認するか、保険会社に問い合わせて給付条件を確認してください。

単焦点レンズと多焦点レンズはどのように選べば良いですか?

単焦点と多焦点は、費用と見え方の両面で違いがあるため、生活スタイルに合わせて選びます。眼鏡をかける生活に抵抗がなく費用負担を抑えたい方は単焦点、読書も運転もできるだけ眼鏡なしで見えるようにしたい方や活動的なライフスタイルを送りたい方は多焦点が選ばれる傾向です。

多焦点は単焦点よりも費用が高く、夜間の光のにじみ(ハロー・グレア)など見え方の特徴もあるため、術前のカウンセリングで医師と相談したうえで決めましょう。

日帰り手術と入院手術で費用は変わりますか?

手術そのものの費用(保険点数)は同じですが、入院する場合はベッド代・食事代・入院基本料が加算されます。白内障手術は手術時間が片目10〜15分程度と短く、日帰りで受けられる方がほとんどです。体調面で入院が必要と判断されるケースを除き、日帰り手術のほうが費用総額は低くなります。

手術後に「後発白内障」になった場合、再治療の費用はかかりますか?

白内障手術を受けた後、数ヶ月から数年のあいだに「後発白内障」(眼内レンズを支える水晶体の袋が再び濁る現象)を起こす方がいます。再手術ではなく、外来で行うYAGレーザー後嚢切開術という処置で対応します。手術料は保険点数で1,380点(1割負担で約1,400円、3割負担で約4,140円)で、別途診察料や検査料が加算されます。

治療時間は片目10分程度で、入院も麻酔も不要です。手術後しばらくしてから「また見えにくくなった」と感じたら、後発白内障の可能性があるため眼科で確認してください。

まとめ

まとめ

白内障手術の費用は、レンズの種類によって大きく変わります。保険適用の単焦点レンズなら片目17,000円〜50,000円程度、選定療養の多焦点レンズなら片目35万〜45万円程度が目安です。

どのレンズが自分に合っているかは、普段の生活で「眼鏡なしで見たい距離はどこか」を軸に考えると整理しやすくなります。費用だけで決めるものではなく、術後の見え方と生活スタイルの両面から選ぶ必要があります。

おぎくぼ南口眼科では、白内障の日帰り手術を行っており、単焦点レンズ・多焦点レンズのいずれにも対応しています。費用やレンズの選び方について不明な点があれば、診察時にお気軽にご相談ください。

監修者情報

おぎくぼ南口眼科 白内障手術執刀医 ビッセン宮島弘子(日本白内障学会評議員)

おぎくぼ南口眼科

白内障手術執刀医 ビッセン宮島弘子(日本白内障学会評議員)

白内障、屈折矯正手術分野では、国内のみならず国際的に高い評価を得ており、国際学会の手術ビデオコンテストでは、最優秀賞2回、部門賞12回、眼科で最も貢献した医師に贈られる賞をアメリカ、ドイツ、アジア太平洋の学会で受賞している。2006年国際眼内レンズ学会で女性初の会長就任、2010年より2018年まで日本白内障屈折矯正手術学会理事長、2018年よりアジア太平洋白内障屈折手術学会理事長を歴任。

経歴

  • 1981年 慶應義塾大学医学部卒業
  • 慶應義塾大学医学部眼科学教室入局
  • 1984年 ドイツ ボン大学眼科助手
  • 1987年 慶應義塾大学医学部眼科学教室助手
  • 1989年 国立埼玉病院眼科医長
  • 1995年 東京歯科大学市川総合病院眼科講師
  • 慶應義塾大学医学部眼科学教室非常勤講師
  • 2000年 東京歯科大学水道橋病院眼科助教授
  • 2003年 東京歯科大学水道橋病院眼科教授
  • 2022年 東京歯科大学水道橋病院眼科特任教授・名誉教授 現在に至る

資格・認定

  • 日本白内障学会 評議員
  • 日本老視学会 理事
  • 日本眼科学会 会員
  • 日本眼科医会 会員

【多焦点眼内レンズに関する重要事項】

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は「選定療養」の対象となり、手術代・薬代等は健康保険が適用され、眼内レンズの費用のみ自費負担となります。当院で使用する多焦点眼内レンズはすべて厚生労働省の承認を受けた選定療養対象品(クラレオンパンオプティクス、テクニスシナジー、テクニスオデッセイ、クラレオンビビティ、テクニスピュアシー等)で、国内未承認のレンズは取り扱っておりません。

  • 治療内容:白内障手術で多焦点眼内レンズを挿入する治療
  • 治療期間・回数:日帰り手術。片目ごとに1回(個人差あり)
  • 費用の目安:多焦点眼内レンズの自費部分は片目あたり30〜40万円程度(レンズの種類により異なります)
  • リスク・副作用:夜間の光のにじみ(ハロー・グレア)、コントラスト感度の低下、まれに感染症・後発白内障など